生物資源科学専攻について

人類が環境と調和しながら生存していくために、食料の安定供給や生物資源の開発、保全、持続的利用に関する様々な問題を解決できる人材を育成することが求められています。本専攻は農学・生物学・環境科学分野の深い専門知識と技術を習得し、人類社会の持続的発展に貢献する高度な専門的・総合的能力を有する人材を養成することを目標としています。本専攻には、生物資源科学を基礎とする4領域(農林生物学領域、農林社会経済学領域、生物環境工学領域、応用生命科学領域)の他、生命産業において活躍し得る実務型社会人の育成を目的としたバイオシステム学コースや、現在人類が地球規模で直面する食料の安定供給や生物資源の開発、保全、持続的利用に関する様々な問題の解決に貢献するための国際人材の育成を目指したグローバルセキュリティーコースが設置されています。

農林生物学領域

本領域は食料生産の基礎となる研究領域です。従来の伝統的な農学体系を基礎にしながらも、近年目覚ましく発展している分子生物学的手法等の最新の技術を取り入れた生産体系の確立を目指し、作物、蔬菜、花卉、果樹などの育種や生産、家畜の生産・管理、森林の育成や保全、さらにこれらに影響を与える動物、昆虫及び微生物などの制御に関する教育研究を行っています。

生物環境工学領域

数学・物理に基礎を置く伝統的な工学的手法に化学・生物学的手法をあわせた学際的・融合的な研究領域です。現代社会の環境に対する負荷を可及的に軽減することを目的とする新しい工学を目指し、新規生物資源の開発、生物資源の生産と利用、自然・生態環境の保全と修復、生物資源の環境利用等の研究を進めています。

応用生命化学領域

遺伝子機能の発現・制御などの生命活動の普遍性・多様性の解明、蛋白質を中心とする生体高分子間の相互作用、細胞・個体レベルでの生命機能の調節機構、生物間および生物と環境との相互作用等に関する研究課題に取り組んでいます。また、これらの研究成果に基づいて、低環境負荷・生態系調和型生物生産システムの開発、有用物質の抽出と生産、生体模倣化学等への生物機能の活用等に関する教育研究を行っています。

農林社会経済学領域

生物資源は自然界の生態系メカニズムがもたらした産物であり、生態系メカニズムが保持される限りにおいて生物資源の再生産が保証されています。しかし、現在は途上国と先進国のいずれもが環境負荷や食料生産の偏在による社会的病理を抱え、生物資源の持続的再生を困難にしています。本領域では生態系調和型経済学の理論構築と、これを具現する循環型社会経済システムの開発を目指す教育研究を行っています。

バイオシステム学コース

生命産業の分野は急速に高度化・専門化しており、その実務に携わる者には社会ニーズや社会的受容性を総合的に判断し得る最新知識と広い視野が要求されています。本コースでは実務的諸問題の理解と問題解決力の涵養に力点を置いて人材育成を目指しています。 本コースはポストバイオテクノロジーを理念にかかげ、バイオテクノロジーを基礎とする新しい生物資源、その機能および生物・生物系の調和手法を創出し、生命生体の持続的発展を見据えた未来の人類と他の生物・無機物との閉鎖系におけるシステム化された恒常的循環の構築を目指す実学的な教育研究を行うことを特徴としています。

その他のコース・プログラム

グローバルフードセキュリティーコース

筑波大学は世界各地に海外拠点を整備し、現地の大学と学術・教育交流の促進を図っています。本コースではこれらの拠点を活かして海外大学と共同で教育プログラムを構築し、現在人類が地球規模で直面する食料の安定供給や、生物資源の開発、保全及び持続的利用(フードセキュリティー)に関する様々な問題の解決に貢献できる国際人材の育成を目指しています。本コースでは、2015年4月より、海外拠点の一つであるボルドー大学と共同で実施する教育プログラム(英語で実施)を開始し、同年10月からは国立台湾大学と、2016年4月からはユタ州立大学との共同プログラムを開始しました。何れのプログラムでも在学期間のうち1年間は筑波大学で、残りの1年間は海外協定校で所定の単位を修得し、修士論文を提出し最終試験に合格すると、筑波大学からは「修士(農学)」または「修士(生物資源工学)」、海外協定校からは所定の修士の学位が授与されます。


博士後期課程知能機能システム専攻とのデュアルディグリープログラム

本プログラムでは、産業構造の変化や急激な技術革新に対応できる幅広い知識や技術をもち、工学及び生物資源科学研究の発展に貢献できる人材を育成することを目的としています。本プログラムは、システム情報工学研究科知能機能システム専攻(主専攻)の博士後期課程の大学院生が、生命環境科学研究科博士前期課程の生物資源科学専攻(副専攻)において、農林生物学、農林社会経済学、生物環境工学、応用生命化学、バイオシステム学を系統的に学ぶことができます。