先輩に聞きました1:林岳宏(応用生命化学コース)

このコースに進学した動機を教えてください

私は高校生の頃は文系選択だったのですが、生物基礎の授業で、細胞内で起こっているタンパク質の働きや、遺伝子について興味を持ち、理転を決意しました。生物資源学類は文系科目で受験したので、本格的に生物や化学について勉強を始めたのは入学してからのことです。入学当初から、漠然と応用生命化学コースに進学したいと考えていましたが、一方で文系出身の自分がついて行けるのか不安に思っていました。しかしながら、1年生の講義は、文系出身者や農業高校などの普通科以外の出身者もいることを前提とした基礎的な内容から学べたので、コース選択までの2年間で必要な知識を身につけることができました。また、さまざまな講義を受ける中で、生命現象に関する基礎研究がしたいという自分の目標が明確になり、最終的に本コースへ進学することを決意しました。

卒業研究のテーマ・内容について紹介してください

卒業研究では「線虫 (C. elegans) を用いた新規ヒストン修飾酵素の探索」をテーマに取り組みました。線虫は体長1 mmほどのとても線形動物ですが、遺伝子は驚くほどヒトとよく似ています。そのため、線虫は最もシンプルな多細胞モデル生物として、生命科学の研究に広く用いられています。また、ヒストンは染色体を構成するタンパク質で、ヒストンの周りにDNA鎖が巻きつくことで、長いDNA鎖を核に収納しています。近年、ヒストンにリン酸基やメチル基、アセチル基などの化学修飾が導入されることで、遺伝子の発現が巧妙に調節されていることが明らかにされています。私は線虫の遺伝子ノックダウンの手法を用いて、ヒストンを化学修飾する未知の酵素を発見することを研究の目標としました。

このコースで学んだことを将来どのように役立てたいですか?

現在は同じ研究室で大学院の修士課程に進学しており、そのまま博士課程に進学する予定です。応用生命化学コースで学んだ知識や実験技術は、現在の研究でも活かせることを実感しています。将来的にはこれらを糧として、一人前の生命科学者となれるよう努力を続けたいと思います。

将来の生物資源学類の学生の皆さんにメッセージをお願いします

生物資源学類は他大学の農学部と異なり、入学時ではなく、3年次に4つのコースを選択することになります。そのため、自分のやりたいことをじっくり考える時間があるのが一つの魅力だと感じています。高校生の頃に自分がやってみたいとイメージしていたことが、いざ大学に入ってみると、「思っていたことと違う!」と感じることもあるのではないでしょうか。あるいは、やりたいことが分からない、イメージできないという人も少なくないと思います。生物資源学類では、コース選択までに自分を見つめ直す時間がたっぷりとあり、イメージだけでなく実際に自分の目で見てやりたいことを決められるので、納得のいく大学生活を送ることができるのではないかと思います。