先輩に聞きました:長谷川智弘さん(応用生命化学コース)

このコースに進学した動機を教えてください

人の命を守るために視野を広くして自分の興味を探りたいと考え、私は応用生命化学コースに進学しました。私は入学と同時に本コースへの進学を心に決めていました。高校生まで私の夢は医者になり患者さんの命を自らの手で救うことでした。残念ながら試験の結果が振るわず、落ち込む私の目に入ったのが、生物資源学類の応用生命化学コースでした。食品に関する研究をする先輩がいる一方で、薬学部でないにも関わらず薬の研究をしている先輩がいました。先輩方の研究内容の幅広さに驚いた私は、「医者にならずとも人の命に関わる仕事はできるのではないだろうか?このコースなら何かが見つかるのではないだろうか?」と考え、本コースへの進学を決意しました。様々な講義を受ける中で本コースへの関心は一層高まり、初心が揺るぐことは一度もありませんでした。

卒業研究のテーマ・内容について紹介してください

私は新規微生物の培養(増やして利用可能にすること)に関する研究を行っています。私たちの生活と微生物の間には深い関係があるのはご存知でしょうか?お酒や醤油を作ってくれたり、体調が悪くなった時に飲む抗生物質を作ってくれたりと、人類は様々な微生物を培養し、その恩恵を受けて暮らしています。地球上には膨大な種の微生物が存在します。しかし、実は、これまでに人類が培養できた(利用できるようになった)微生物は、全体のわずか1%程度です。現在、残された99%の未培養微生物の培養化が求められています。私は、卒業研究で、未培養微生物を培養化する新たな方法の開発に取り組んでいます。この研究が完成すれば新しい抗生物質や産業的に価値のある酵素が見つかるかもしれません(微生物はその多様性故に、新規化合物の宝庫です)。

このコースで学んだことを将来どのように役立てたいですか?

私は応用生命科学コースで学んだ知識は勿論、学問に対する姿勢が私の財産になると実感しています。本コースの先生方の講義は、教えるという側面だけでなく挑戦的であり、「こんな面白いこともあるぞ」と、私たちの好奇心を掻き立ててくれます。ある時の私は、興味を持った授業に関連する本を購入したり、自分の研究に何か役に立たないかと先生の発する言葉を懸命にノートに記しました。この主体的に取り組む姿勢は本コースで学んだ貴重なことです。私はこの姿勢を忘れずに、いかなる環境でも探求心を持って事にあたりたいと考えています。そしてもう一つ、私が何よりも大切にしている事があります。それは、人を大切にすること。これは私の指導教授から学んだことです。人の良い面を見て円満な人間関係を築いていけたらと思います。

将来の生物資源学類の学生の皆さんにメッセージをお願いします

幅広く自分の興味関心を探ることができ、その分野において日本でトップクラスの先生方の講義を受けられることが本学類の良さです。また、早い時期から研究を開始するプログラムや、海外の農業を現地で学ぶ国際農業研修プログラムなどもあり、やる気のある人には理想的な環境です。また生物資源学類は学生同士が仲が良いことで有名です。この学類にはお節介な先輩や同期が必ずいます。人間関係は心配しなくて大丈夫。最後に、まだやりたい事が分からない人にメッセージです。焦らないでください。やりたいことが分からないのは普通です。私も何かを選ぶと、選ばなかった他の選択肢が消える気がして怖くて仕方なかったです。そんな君にこそ、私は生物資源学類を勧めたいです。多くの選択肢を有する生物資源学類で、ゆっくりと自分と対話してください。大切なのは、分からないことを興味のないこととして切り捨てないこと。きっと納得のいく学生生活が送れますよ。