加藤早織さんが日本菌学会第63回大会において学生優秀口頭発表賞を受賞

2019年5月24日~26日、秋田県立大学において日本菌学会第63回大会が開催され、生命環境科学研究科生物資源科学専攻博士課程前期2年の加藤早織さん(植物寄生菌学研究室)が 学生優秀口頭発表賞を受賞しました。

加藤さんは2017年4月より、トネリコ属植物に感染する子嚢菌類Hymenoscyphus fraxineusの生態学的研究を続けてきましたが、今回「複数のトネリコ属植物におけるHymenoscyphus fraxineusの生活環に関する調査」というタイトルで、 卒業研究をさらに発展させた修士研究の一部についての発表を行いました。この発表では、H. fraxineusが、これまで報告例がなかったトネリコおよび近縁属のコバタゴを含む、複数のトネリコ属植物の複葉内に侵入し、定着することができること、そして、最終的に落葉軸上での子実体形成までは至れず、生活環を全うできない宿主も存在することを報告しました。本菌は、ヨーロッパでは特にセイヨウトネリコに立枯れ症状(Ash dieback)を引き起し、大きな問題となっていますが、本菌の起源地と考えられている日本を含む東アジアでは本病の報告はありません。さまざまな宿主トネリコ属植物上での本菌の動態を解明することは、Ash diebackの防除にもつながるため、さらなる本菌の生態解明に向けた研究の進展が期待されます。

(参考)
本大会のホームページ:
https://www.congress63.mycology-jp.org/