学生森林技術研究論文コンテスト・日本森林学会会長賞受賞

生物資源学類(平成29年度卒業)の小沼佑之介さんの卒業論文が一般社団法人日本森林技術協会「学生森林技術研究論文コンテスト」 において、日本森林学会会長賞を受賞しました。

卒業研究のタイトルは「青葉山スギ個体群の集団遺伝学的解析」で、その概要は下記の通りです。

【卒業研究の概要】
天然スギは,その多くが有用材として伐採されてしまっているため,遺伝子保存林への指定など,スギ天然林の保全が急務である。最終氷期最盛期の大規模な逃避地のうち,日本海側で最大の若狭湾沿岸部のみ,まとまったスギ天然林が見つかっていなかったが,3年前に福井県高浜町の青葉山に天然スギの可能性が高い個体群が見つかった。筆者はこのスギ個体群の生育状況や樹齢,遺伝的解析を通して天然生個体であるかの調査を行った。調査は,フィールドでのDBH測定・成長錐による年輪コア採種だけでなく,遺伝的解析ではDNA解析として,採取した針葉からDNAの抽出・遺伝子型決定を行い,その遺伝子型データを用いて,遺伝的多様性解析・遺伝構造解析・近縁性解析といった高度な解析を行った。解析の結果,これらの個体は若狭湾沿岸における天然生個体である可能性が極めて高いと判断されるとともに,稀少なスギ天然林の保全のための,特に最終氷期の逃避地である若狭湾沿岸における極めて貴重なデータとなった。